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2010年5月

2010年5月16日 (日)

かめばこ「亀箱」完成 第一報

先週はまる1週間かけて「亀箱(かめばこ)」を設計した。できたのがこの Tortoise104 natural と white 。


T01


亀プロジェクト自体は約1年半前からスタートし、いくつか試作も作っていたのだがなかなか思うように進まなかった。

普通にカメをつくるだけならもっと早かったのだが、豚パック、しゃんぺんぎんに続くアニマルパッケージ第三弾としてはじめたので思いがけず難航してしまった。

しかしながら仕上がりは上々。一般向けとしてはちょっとシブ過ぎるかもしれないが、d-torso Fan の皆さんには気に入っていただけるだろう。


T03


とくに甲羅=収納部分の構造は苦心した。数回修正をかけて今のかたちになったのだが、幾何学的な形態の分割の手続きは予想以上に難しかった。設計条件として、フタ(甲羅の上面)を取り外してもカメさんのかたちが成立することが必要だったので、どうしても部品の数が過剰になってしまう。>>> フォルムを構成する部材をできるだけ減らすことと、ジョイント専用部品を完全に削除。>>> 結果、シンプルな構造体ができあがった。 >>>部品数は全59個、最近では最も少ないモデルだ。


Tp01


このミニチュアカメ、収納部分は3x4cmくらい。キャンディーとかジュエリーとかを入れるには十分なスペース。
もっともパッケージとしては全長390mmのモデルが主体になるだろうから中に入れる商品の形態にあわせられるように縦横高さとも十分なスペースを確保した。


Tp02


問題はお腹に何をいれるかだが。。。それはゆっくり考えよう。>>> みなさん、なにかリクエストがあったらぜひご教示を


Tp03


最近ディズニーのキャラクターなど、動きを表現する課題が多かったので(・・・ディテールも細かくてそれなりに難易度が高いのだが・・・)こうゆうカメのようなスタティックなモチーフは新鮮だった。

だが、こちらのほうがはるかに難しいようだ。ディズニーキャラの場合は設計にとりかかるときに既に正解が見えていて、設計作業はそこに収斂させていくプロセスになるのだが、カメのようなシンプルな形態は正解が一つとは限らないのだ。


Tp04


上の写真はフタの部分。軸になる背骨にxz平面(背骨に垂直な断面)を差し、水平材(xy平面)と垂直材(yz平面)で固定、フタを開けるときはこの背骨を引き抜けば、フタ部分全体が取り外せるしくみ。>>>・・・理論上は。


T04


うまくハズセルようにするには、レーザーのオフセットを微妙に調整する必要があるのだ。

このへんは藤並部長の専門だ。 >>> 藤並さん よろしく。


2010年5月 4日 (火)

d-torso のはじまり その2

 d-torsoのはじまり(その二)~1998年、アキ工作社設立~


 妻のニットの展示会ではじめて発表した段ボール製マネキン。
 関係者のアドバイスもあって、展示会後すぐに意匠登録を特許庁に
 出願します。

 通常は弁理士に頼んで手続きを行うのですが、手数料が最低30万円
 はかかります。前回もお話ししたように時間はあるけど、お金がない
 生活だったので、書類はすべて自分で作成することにしました。

 幸い建築実務の経験があったので、(法律関係の文章などには慣れて
 いましたから)書類の作成も別段苦労はしませんでしたが、


 ここからがたいへんでした。

 出願から1年半後、拒絶通知がきます。
 そうとうショックでしたが、補正手続きをして提出。
 それからまた半年後に2度目の拒絶通知がきます。
 さすがにメゲそうになりますが、
 今度は直接特許庁の担当官に会いにいって、
 意匠の新規性を説明し、再度提出。

 結局登録できたのは出願から2年半後、1998年の4月でした。


 >>>やっぱりこういうものはプロに頼むべきだと思いました。
 弁理士に頼んでいたら、たぶんこんなに時間はかからなったでしょう。

 この時点で、自分で事業化するつもりはまったくありませんでした。

 設計したり、モノをつくったりというのは専門分野ですが
 モノを売ったり、お金の勘定したりというのは、全くダメでしたから。


 そこで、関係ありそうな企業に案内を出すことにしました。

 「こんなのできましたけど、商品化しませんか?」というような内容です。
 全部で20社くらいに資料を郵送しました。
 相手はアイデア商品を制作する会社や段ボール会社などです。


 しかし、・・・待てど暮らせど、返事はいっこうにありません。
 やっと返事がきたか、と思ったら封筒の中に500円の図書券が1枚?

 「たいへんよくがんばりました!」?? まったくトホホな状態です。


 結局その他はすべて空振りでした。


 >>> しかし、このまま埋もれさせるのはあまりにもったいない。


 しょうがないから自分で事業化することになったのです。
 1998年7月3日。限りなくモチベーションの低い船出でした。

 さて、事業化の準備としては、製品の量産方法を考えるということから
 はじまります。>>>いちいち手作業で切っていては採算が合いませんから。


 最初に試したのは型抜きです。

 これは段ボール箱をつくるときの一般的な方法で、木型に圧力をかけて、
 段ボールシートを打ち抜くのですが、

 この方法だとどうやっても段ボールの断面が潰れてしまいます。

 d-torsoの最大の特徴は個々の部品のシャープな切断面にありますから
 断面がきれいでないとハナシになりません。>>> だから、これはNG。


 それからは、ありとあらゆる「切る」方法を試しました。
 刃物で切る(サンプルカッター)、水で切る(ウォータージェットカッター)
 そして最終的に行き着いたのがレーザーカッターでした。
 
 つまり、焼き切るという方法です。

 ですがこの方法には細密加工ができるという利点と共に大きな欠点があります。
 紙を焼き切るわけですから、当然「焦げ」が残ります。


 この「焦げ=炭化」をできる限り少なくするというのが次の大きな課題でした。


 (次回につづく)

 この続きは次回、わたしの当番のd-torso NEWSにて。

 お楽しみに!


 以上はメルマガに連載中の「d-torso のはじまり」の第二回目配信です。

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2010年5月 3日 (月)

d-torso のはじまり その1

 こんにちは。アキ工作社の松岡です。

 先月から週ごとに執筆者を交代してお届けしているd-torso NEWS
 今週はわたくし松岡の第二回目です。よろしくお願いいたします。


 アキ工作社は製品や事業自体が珍しいこともあって、会社設立当初
 から今日に至るまで、マスメディアの皆さんに取材していただく機会
 がとても多いのです。そして、取材の中で決まって聞かれるのが、

 「どういうきっかけでこの商品をつくることになったのか?」

 という質問です。


 それに対して私は、これまで何百回となく同じお応えをしてきたわけ
 ですが、考えてみたら自社のサイトにもその辺りの経緯がどこにも
 紹介されていないな、と。

 そこで遅ればせながら、あらためてd-torso 開発の経緯について
 ご紹介しようと思います。
 
 ちょっと長くなりそうなので、わたくしの当番の週に
 複数回に分けて配信したいと思います。


 みなさま、最後までおつきあい願えれば嬉しいです。


 アキ工作社 松岡勇樹


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 d-torsoのはじまり(その一)~はじまりは1995年~

 私のもともとの専門は建築です。
 大学の建築学科を卒業して、実務は構造設計をやっていました。


 その後、勤めていた設計事務所をやめてフリーで活動していたころ、
 (私の妻で)ニットデザイナーの竹下洋子がはじめての展示会を渋谷で行う
 ことになりました。渋谷パルコの地下、ロゴスギャラリーです。

 1995年、いまから15年前。千葉県柏市でのおはなしです。

 この展示会でニット作品を展示するためのマネキン(ボディー)
 が必要だということで、すぐに探しはじめました。


 ・・・が、既製品で作品に合うボディーはなかなか見つかりません。


 私自身、「お金は無いけど時間だけはある」という状態だったので
 いっそのこと自分で作ってみようか! ということになり
 第一号機の試作がはじまりました。


 「何故、ダンボールなのか?」


 これもよく質問されることですが、
 要するに、材料を買うお金がなかったということです。


 最初は古段ボール箱を潰して、切り抜いていましたが
 新品をシートで購入してもそれほど高いものではありませんでしたので
 以後は近くの段ボール屋さんからシートで仕入れるようになりました。


 当時、柏市の自宅にはパソコンも無かったので
 10号サイズの既製品ボディーを鉛筆でデッサンして型をつくり
 それを段ボールシートに鉛筆で書き写して、
 その線に沿ってカッターを入れるという作業を延々と繰り返して
 いました。


 一体分の部品を切り出すのにまる一日かかります。
 夕方頃には腕の感覚がなくなってきます。


 そうして、最初の試作が出来上がりました。


 で、・・・自分的にも「けっこういけるんじゃない?」と。
 「これっていままで見たこと無いよねェ?」と、自画自賛しながら

 ロゴスギャラリーでの展示会初日を迎えます。

 この展示会のために5体制作しました。
 (いまから思えばよくつくったなーと思います。)


 ▼そのときの展示会の写真がこれ。(現存するのはこの写真2枚だけ)

 d-torso プロトタイプモデル

First_a


First_b

 懐かしいなァ。

 現行の最新モデルと比較するといかにも無骨なつくりなのですが、
 手で切り抜いただけあって味わいがあります。
 (しかもベースはコンクリートブロックですから)

 ニット作品の評判もすこぶるよかったのですが、
 このとき展示に使用していたボディーも関係者の注目を集めました。


 「アパレル業界はすぐまねするからパテントとっといたほうがいいよ」

 という、関係者のアドバイスもあって、それからすぐに意匠登録の書類を
 自分で作成して特許庁に出すことになります。

 これが「d-torso のはじまり」のはじまりのくだり。

 実際、会社を作って製品化にいたるまでには、ここからさらに丸3年
 かかることになります。(つづく)

 この続きは次回、わたしの当番のd-torso NEWSにて。

 お楽しみに!


 以上はメルマガに連載中の「d-torso のはじまり」の第一回目配信です。

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